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2025年度基幹ゼミ 第8回 議事録

  • Kanaet-Lab
  • 6月10日
  • 読了時間: 5分

2025年度基幹ゼミ第8回の議事録です。


日時:2025年6月4日(水)14:50-16:20

会場:DW704

参加者:11名 髙橋、榊原班(5名)、田中班(2名)、溝田班(4名)

欠席者:3名


1 連絡事項

・6月28日講演会あり。

・夏休みの合宿に向けて、調査のやり方をまとめた資料を公開予定。


2 グループ発表

(1)溝田班

・発表者:安田

・課題本:『ソーシャル・キャピタルからみた人間関係――社会関係資本の光と影』

・発表範囲:第5章「地域参加を増進するには――地域活動における男性の不利と女性の不利を考える」

[概要]

 近年、高齢者の支援や、地域活動の増進といった対策をおこなうために、ソーシャル・キャピタルを醸成する政策がとられているが、人々の階層構造や地域、個人がもつパーソナル・ネットワークによって異なった特性をもつことに注意する必要がある。

〈質疑応答〉

質問1:地域参加の傾向についてジェンダーにのみ言及していたが、どのくらいその地域に住んでいるかなどの地域移動には言及されていたか。

回答1:5章には無いが、ほかの章には多少の記載あり。

質問2:性別役割分業の受け継がれに関する事例はあるのか。

回答2:具体的な事例はないが、性別役割分業(男性がどのくらい組織のトップに立っているかなど)に関する世代ごとのデータは存在するため、性別役割分業が受け継がれているといえる。


(2)溝田班

・発表者:安田

・課題本:『ソーシャル・キャピタルからみた人間関係――社会関係資本の光と影』

・発表範囲:第6章「風通しの良い自治会運営は橋渡し型ソーシャル・キャピタルを構築することによって可能か」

[概要]

 コミュニティを支える活動主体と非活動主体の間には地域活動への認識に差異が生じており、担い手不足や財源不足が指摘されているが、自治会・町内会の支えが地域社会には今まで以上に必要であるため、組織の風通しのよい仕組みづくりをおこなう必要がある。

〈質疑応答〉

質問1:自治会の存在意義に異議を唱える者が少ないからといって、いずれの層も自治会の必要性を過半数の住民が認識しているとは言い切れないのではないか。

回答1:自治会の必要性に関する住民のアンケートにおいて、過半数の住民が必要性を認識していることが示された。ただし、すべての自治体でそうとは限らない。

質問2:自治会・町内会の加入率の減少や不要論はいつから指摘されたか。

回答2:2020年の新聞記事の内容であると本文に記載されている。

〈先生からの補足〉

・自治会・町内会の加入率の減少や不要論はニュースなどでも報道されていること。

・都市移動や居住地の都市度の効果にもジェンダー差はみられる。


(3)榊原班

・発表者:祖父江

・課題本:『ソーシャル・キャピタルと社会――社会学における研究のフロンティア』

・発表範囲:第4章「親子のかかわり方と学業成績」

[概要]

 先行研究では教育とソーシャル・キャピタルの関連に正の相関と負の相関の両方がみられていた。また、日本でのソーシャル・キャピタルに関する研究はあまりされていないこともあるため、家庭内の中でも親子の相互関係から検討した。その結果、学校段階の変化や信頼関係など多数の側面で教育と関連があった。

〈質疑応答〉

質問1:世代間閉鎖性は子供同士及び親同士の繋がりが強いことを意味する言葉という認識で合っているか。

回答1:本文に詳細は書かれていないが、おそらく子供同士及び親同士の繋がりの強さを意味する。世代間閉鎖性が何らかの利益を生むのではないか。


(4)榊原班

・発表者:祖父江

・課題本:『ソーシャル・キャピタルと社会――社会学における研究のフロンティア』

・発表範囲:第5章「家族構造が子供に及ぼすインパクト――家族構造・ソーシャル・キャピタルと中学生の成績/自己肯定感との関連」

[概要]

 ひとり親家族やステップ家族は経済的困難が理由として子供へのインパクトや家族構造を説明されるケースが目立つ現状にある。だが、経済的理由だけでは説明できないのではないかという考えから分析を行い考察する。それに伴い、それぞれに適切なアプローチを試みる。

〈質疑応答〉

質問1:子供に及ぼすインパクトのうち、子供の成績に関するものは世帯収入ではなく世帯収入に媒介される親の子どもへの教育期待であるとされていたが、具体的にどういうことか。

回答1:経済力と親の子どもの教育への関心にそこまでの関連が見られないため、たとえ収入が高くても子供の成績が高くなるとはいえない

〈先生からの補足〉

・ネットワークにおいて、ノード(人)がリンク(関係)によって結びつき、新たなリンクが結ばれる可能性がない状態を「閉鎖」と呼ぶ。

・一つのネットワークに存在するすべてのノードが結び付いている状態が、最も閉鎖的といえる。

・世代間閉鎖性は子供同士及び親同士の繋がりが強いことを意味する。

・一般に「媒介されている」というと、独立変数と従属変数の間にみられた関連が実は他の変数を介して生じている関連であったということ。

 

3 まとめ

 今回の発表は、今までの発表よりもかなり専門的な内容に踏み込んでいると感じた。溝田班は橋渡し型社会関係資本を醸成した場合の組織運営への影響について、パス解析の算出方法にかなり手間取っているように思えた。一方で、榊原班はそれぞれの章にデータが用いられていたが、それらの分析結果から読み取れる、ソーシャル・キャピタルが家庭内に及ぼす影響の分析が極めて困難であるように感じた。

 しかし、ソーシャル・キャピタルは家庭環境から組織運営に至るまで、多岐にわたってその存在が重要視されるため、私たちがそれぞれの分野で考察をしているという現状は、かなり効率的なアプローチなのではないか。今後の授業でも、ソーシャル・キャピタルについて少しずつ理解を深めていく必要があると感じた。


作成:谷口

編集:榊原

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