2024年度基幹ゼミ第10回の議事録です。
日時:2024年6月11日(火)14:50-16:20
会場:DW704
参加者:12名 髙橋、三澤班(4名)、鈴木班(3名)、川瀬班(4名)
欠席者:1名
1 グループ発表
(1)三澤グループ
・発表者:梅岡
・課題本:『若者とは誰か――アイデンティティの30年』
・発表範囲:第7章「多元的自己として生きていくこと」
[概要]
経済的、政治的、倫理的という三つの観点からなされてきた自己の多元性に対する否定的評価の再検討をしてきた。自己が多元化すると万事が上手くいくというわけではなく、それをいかに有効に活かせるかが重要である。
〈質疑応答〉
(2)と合わせておこなった。
(2)三澤グループ
・発表者:三澤
・課題本:『若者とは誰か――アイデンティティの30年』
・発表範囲:補章「拡大する自己の多元化」
[概要]
2001年と2011年のデータを比較すると、わずかな例外を除き、エリクソン型のアイデンティティモデルが現実味をおびた。
〈質疑応答〉
質問1:自己の多元化・多元性とは何か。
回答1:友達・親などと関わるとき、相手によって自分の話し方を変えるたりすることがあるが、それはすべて本当の自分であるということ。
質問2:自己の複雑化・多元化とはそれぞれ別のものを指しているのか。
回答2:ギデンズとバウマンが自己の複数化、作者が自己の多元がと呼んでいるが、同じ意味だと読み取れる。
(3)鈴木グループ
・発表者:大森
・課題本:『〈ヤンチャな子ら〉のエスノグラフィー――ヤンキーの生活世界を描き出す』
・発表範囲:第5章「学校から労働へ」
[概要]
6人のヤンチャな子らは、人によって関係性はそれぞれであるが、社会的ネットワークを使って就職していることがわかる。そして、家庭関係や住んでいた場所を土台に中退・卒業後は大きく左右されており、これは親から譲り受けた「相続資本」が関係しているといえる。
〈質疑応答〉
質問1:「相続資本」とは具体的に何か。
回答1:ヤンチャな子らが就職するときに手助けとなるもの。家族・幼馴染・友人などとの関係性。
質問2:ソーシャル「キャピタル」とは何か。
回答2:例えば、信頼や規範、ネットワークなど社会における人々の相互関係のことである。
(4)川瀬グループ
・発表者:片岡
・課題本:『分断社会と若者の今』
・発表範囲:第7章「若者にとって自由な働き方とは何か」
[概要]
若年層の働き方と自由の関係について、学歴が若者の仕事における自由の獲得に関わることが示され、若年非大卒層の職業的苦境や若年大卒女性のジレンマが明確になった。
〈質疑応答〉
(5)と合わせておこなった。
質問1:若者において大学進学志向の大卒、非大卒の学歴差の30ポイント前後は具体的に何を指すのか。
回答1:男女ともに大卒と非大卒との間には大学進学志向に対する肯定比率の約30%差があること。
質問2:どうして若者を30代以下としているのか。
回答2:雇用の流動的や晩婚化、少子化などによって若者と捉えるべき層が高年齢化しているため、年齢層を20歳〜39歳とやや高めに設定している。
(5)川瀬グループ
・発表者:川瀬
・課題本:『分断社会と若者の今』
・発表範囲:第8章「性別役割分業の新局面」
[概要]
性別役割分業とイクメンの意識について、現代日本の若者は既得の立場を守りつつ、新しい局面に積極的に関わろうとしていることが明らかになった。
〈質疑応答〉
質問1:「非正規雇用者は自由なのか」という質問に対して、なぜ男性壮年層は「はい」と答えているのか。
回答1:壮年男性は、非正規雇用による低賃金、生活満足度の低さは自由を得られることへの代償と考えているため。
質問2:夫の育児参加は女性よりも男性の方が肯定的であるのは、何かデータや根拠があるのか。
回答2:2015年のイクメン意識調査を行い、男性の方が肯定的な数値が出た。
2 まとめ
今回で文献講読が終了した。各グループで2冊、合わせて6冊の専門書の知識を次のリサーチ演習や卒業論文に生かしていきたい。
作成:森田
編集:三澤